ダイエットを始めてみたものの、
なんとなくしっくりこなかった。
体重を減らしたいのかと聞かれると、
少し違う気がしていた。
そんなとき、銭湯に行った。
子どもからお年寄りまで、
いろんな世代の“リアル”がそのまま見える場所。
服も、下着もない。
ごまかせない。
そこで、ふと思った。
体重じゃない。
細さでもない。
ハリ。
肌のハリ。
胸の位置。
お尻の丸み。
背中の張り。
同じくらいの年代でも、
ハリがある人は若く見える。
逆に、
細くても、猫背でハリがないと
一気に年齢が上に見える。
重力って、残酷。
でも、全部が年齢のせいでもない気がした。
ただ――
ハリって、難しい。
若返りたいわけじゃない。
20代に戻りたいわけでもない。
でも、
重力に全部あずけたような身体には、
なりたくない。
だらしなく見えたくない。
諦めた人に見られたくない。
体重を減らせば解決、
そんな単純な話じゃなさそうだ。
私が本当に気にしているのは、
数字じゃなくて、
“重力にどう向き合うか”
なのかもしれない。
そう思ってから、
次は「痩せる」ではなく、
“たるみ”に目がいくようになった。
重力にどう向き合うか。
そう考えた瞬間、
今まで気にしていなかった場所が
急に浮かび上がった。
顔。
ある日、
甥からテレビ電話がかかってきた。
何気なく出た。
画面に映った自分を見て、
一瞬、固まった。
……え?
ほうれい線、こんなにあった?
目の下、こんなに影あった?
光の加減?
角度?
いや、違う。
これが、今の私。
これはやばい。
体より先に、
顔がきた。
体は服で隠せるけど、
顔は毎日、出てる。
重力って、
本当に平等だ。

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