いつか歳をとることは当たり前だと、頭ではわかっていた。
でも、それはどこか他人事だった。
それが突然、自分のことになった瞬間だった。
病院で会計を待っていたとき。
先に呼ばれた人の後ろ姿が、ふと目に留まった。
ベージュのトレーナーにジーンズ。
自分の日常とよく似た服装に、背格好。
なんとなく、目線を下に移動した。
その瞬間、ヒップラインに違和感を覚えた。
……え?
ショーツのラインが、くっきりと浮き出ていた。
ちょうどその少し前、
家族と年齢の話をしていて、
自分が何歳なのかを改めて意識していた。
ほんの少し前までは、
結婚や仕事の話をしていたはずなのに、
いつの間にか
健康や子どもの将来の話。
そんなタイミングで目に入った、
私より5歳くらい年上に見える彼女。
なぜか他人とは思えなかった。
数年後の自分の姿を、
そのまま見せられているような気がした。
……
あ、私このままだとヤバいかも。
だって、
私も彼女とよく似たジーンズを、
普通に履いている。
…少し考えて、
とりあえず考えるのをやめた。
でも、その日、
家に帰ってから
全身鏡を見ることはできなかった。
いつもと同じ日常、いつもと同じテンション。
だけど心の中はソワソワしてた。

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